朝9時10分。俺は『円麦』を後にして40分ほど歩いた坂の上の閑静な高級住宅街に、落ち着いた一軒家を見つけた。ここが札幌で一番美味しいと言われている有名なパン屋『ブランジェリー ラ・フォンティヌ・ドゥ・ルルド』なのだ。
平日は朝10時開店だが、土日祝は朝8時半開店のため、俺は開店間もなく着いたことになる。カフェのような一軒家の中に入ると、中は焼き上げているオーブンの熱さと焼きたてのパンの香りで満たされていた。季節は秋に入りやや肌寒い札幌だが、店の中の真夏のような暑さに俺は汗をかく。
開店間もないということもあり、売り切れになったパンはなかった。ハード系のパンが目立ったが、菓子パンなどもあり、種類は豊富であった。俺は好みのパンを4点選んで店を後にする。
クロワッサン(税込210円)
アンパン(税込170円)
チャバタ(税込180円)
ハチミツ(税込240円)
帰りは上がってきたこの坂を下ることになる。遠くに札幌中心部の街並みが見えた。遥か遠くまで広がる青空と澄んだ空気が心地よい。
俺は歩きながら発酵バターを使用したクロワッサンを食べる。札幌一と言われているだけあって、外側のパリパリ感とバターの風味は文句なしの一品であった。しかし、やや塩分を多く感じたので、先に寄った『円麦』のクロワッサンの方が今日の出来だけを見れば上である。ただ、パンも好みが分かれるので、どこが一番美味しいかとは一概に決められないと思いながら、パンを片手に俺は次の目的地に向かった。
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