鉄仙のショートショート

2012年に若年性パーキンソン病を発症。アマチュア作家。

小説『ロックダウン~東京・都市封鎖』のプロット

第一章

 大陸から発生した未知のウイルスが世界に蔓延し始めて二ヶ月が経つ頃には、日本の首都・東京でも連日のように百人以上の感染者が発表されるようになっていた。世界各国で始まっていた都市封鎖も、日本で最初に感染者が発表されてから一ヶ月後には、東京で始まり、神奈川、埼玉、千葉、山梨との県境の道路には、自衛隊によるバリケードが設けられ、人の出入りだけでなく、物流も止まった。

 当初は、法的根拠がないことから、他国のような人権を無視した封鎖はできないと言われていた完璧な都市封鎖も、元々、隠蔽体質のあった政府にとっては造作もないことだった。法的根拠など必要もなく、水面下で規制を始めていたSNSでの情報統制の効果もあって、表向きは緩やかな都市封鎖であり物流も止まっていないと報道されていたが、実際は、東京に住む人々を完全に閉じ込めた他国よりも厳しい都市封鎖だった。

 国会議員を初めとした地位と名誉があると言われている人々とその家族は、都市封鎖前に東京を脱出しており、いつもテレビに映っている東京のマスコミ関係者たちも、政府の要請であらかじめ移動していて、東京の都市封鎖後は、地方テレビ局からニュースを報道し続けていた。

 日本の首都である東京が、政府から見捨てられて人権無視の都市封鎖になったことを報道することは、日本中を混乱に招く恐れがあった。実際に、他国で起きていた混乱を見ていれば、誰しも理解するしかない事態だった。

 東京が都市封鎖されて一週間は、移動制限はあったものの食料は供給され、人々も楽観的に暮らしていた。都市封鎖の混乱で、電話を初めとするSNSやネットなどの通信網の利用者が増え、許容量を超えたことから、各種通信網の使用ができなくなったと東京のテレビでは発表されていたが、他県では今まで通り、普通に使用することができていた。

 東京の都市封鎖から二週間後、埼玉にドローンが一台落ちてきた。ドローンにはUSBメモリーがくくりつけられており、中には現在の東京の様子が映像で収められていた。食料の供給は、運送会社の従業員が感染してしまったことにより止まってしまい、通信網の停止による煽られた不安から暴動が起き始めていた。中には人種差別による一方的な虐殺映像もあり、それらがネットに公開されると、すぐに人種差別された国から、日本政府への謝罪要求が始まった。 

 日本政府は、東京の都市封鎖の実態を隠していたため、映像は偽物だと発表するだけで、謝罪要求に応じることはなかった。

 二日後、他国で日本人が虐殺された。犯人は世界に向けて映像を公開して言った。「これは正当な報復行為だ」と。

 五日後、日本でも報復行為を行うものが現れてしまった。

 その後、見せしめの報復行為が各国で目立つようになるなか、ある国の軍事基地で戦闘機の操作ミスによる事故が起きた。

 過敏になっていた国民たちは、他国が仕掛けた戦争だと言い始め、以前から仲が悪かった隣国の国境を越えて報復行為に出てしまう。それがきっかけで、戦争が始まり、一ヶ月後には、後に第三次世界大戦と呼ばれる戦争が始まってしまった。

 戦争に参加するか、しないかで、日本は二分されていたが、時の総理大臣は、参加を表明してしまった。

 それを受けて北海道の知事は、戦争に巻き込まれないために、日本から独立することを宣言した。

 それにより、日本を亡命して北海道へ逃げる人が出始めた。

 突如、人口の増えた北海道では、減り始めていた未知のウイルスの感染者が再び増え始めていた。

 二ヶ月後、今度は、千葉にドローンが一台落ちた。USBメモリーには、「未知のウイルスの特効薬が完成した」とメッセージと共に、喜ぶ東京都民の映像が入っており、すぐに世界中に公開された。しかし、映像を見た日本政府は、都市封鎖を解除させようと企む者による偽の情報だと結論づける。

 国となった北海道の首都・札幌では、未知のウイルスによる死者が人口の半分に達する事態に陥いるなか、すでにウイルスで死亡した大統領に代わって、新しく大統領になった元大学教授によってチームが編成された。ウイルスの特効薬を東京から入手するため、すでにウイルスを克服して免疫のある七人の専門家で編成されたチームは、東京を目指して北海道を出た。

 想定していた国境警備もなく、簡単に東北地方に上陸した七人は、そこで驚く光景を目にする。東北地方はすでにウイルスによって全滅しており、日本はすでに東京より南の地域にしか人がいない土地になっていた。

 本州から北海道へ亡命する人が北上したとき、ウイルスもまた、その道中でばらまかれてしまっていたのだ。

 七人は、乗り捨てられたキャンピングカーを見つけ、ガソリンと食料を積み込むと、東京を目指して車を走らせた。

 

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