鉄仙のショートショート

2012年に若年性パーキンソン病を発症。アマチュア作家。

メイド喫茶に通う男を見て、呆れてしまう。

 私はメイド喫茶に興味がない。金を払って女性にチヤホヤされる意味が分からない。だからメイド喫茶だけでなく、キャバクラにも行ったことがない。

 忘年会でも何でも、飲み会で女性の隣に座ったら、何も言わなくてもお酒を注いでくれるし、大皿料理も取り分けてくれる。「あーん」して、と甘えれば、「えー? 何、甘えてんのよ!」と言いつつも、「仕方がないな。いつも頑張っているから、ご褒美だよ?」と笑顔で対応してくれる。

 旅行に行けば、旅行先でブログ読者の女性とデートするのは当たり前だったし、お金で女性をどうこうするというのが、私には分からない。

 だから、テレビの画面以外でメイド喫茶を見ることはないと思っていた。

 ところがだ。趣味のボードゲームを買いに、札幌の狸小路にあるアルシュ4階にあるイエローサブマリンに寄った帰り、エスカレーターで降りようとすると、その途中にメイド喫茶があるのだ。

 羞恥プレイなのかどうかは分からないが、店には壁がなく、通路から店内が丸見えなのだ。横目で見ると、それほど可愛くない女性と甘える男性が楽しそうに話しているのが見えてしまう。

 あれを見ると、色々考えさせられてしまう。テレビに出るようなアイドル並に可愛い女性が相手をしてくれるというのなら分からなくもないのだが、普通の女性と話すのなら、メイド喫茶に来る必要はないのではないだろうか。

 こう言うと「あなたはモテるから必要ないかもしれないが、女性にモテないからメイド喫茶に行くしかない」と言う人が出てくると思われる。しかし、それは言い訳で、女性にモテるぐらい、仕事も勉強も一所懸命頑張れば、女性は寄ってくるものだ。

 仕事から帰ってきて疲れたと言いながら、ダラダラとテレビを見たり、ゲームをしたりして、人並み以上の結果を出せるわけがない! 普段、甘えない男性が甘えるから、女性も甘えさせてくれるわけであって、いつも甘えている男性が女性に甘えようとしても甘えられるわけがないのだ。

 私は、いつもメイド喫茶の横を通り過ぎるとき、金を払って鼻の下を伸ばす男性を見て「何やってんだか、情けない」と思いながらも、あんな風にはなりたくないなと思い、心を引き締めるようにしている。