鉄仙のショートショート

2012年に若年性パーキンソン病を発症。アマチュア作家。

受賞作でも、つまらなければ重版されない。

 久しぶりに本屋へ足を運んだ。前から目を付けていた本を軽く立ち読みして、どれを購入するか見定めるためだ。

 節約を考えると、図書館で借りるほうが経済的なのだが、近所の図書館は貸出期限が2週間となっており、私の本を読むスピードを考えると2週間で読み終えるのは、かなり厳しい。朝から晩まで執筆していると、頭の中が疲労状態で、本を読む余裕がないからだ。無理なく読むことを考えると1ヶ月は欲しい。一応、図書館の貸出期限は延長できるのだが、その手間が、とても面倒くさい。

 そんなわけで、私は金もないのに本を買っている。執筆の勉強のためだと思えば、必要経費である。

 ただ、なけなしの金を無駄にする訳にはいかず、購入する本を吟味する必要がある。ネットのクチコミを参考にしたり、新人賞受賞作を中心に選定して、本屋で数冊立ち読みして選ぶのだが、評判ほどでないものが多いことに驚かされる。本が売れないのは、読者の問題ではなく、単に作品の質が落ちているだけなのかもしれない。

 もちろん、私が立ち読みしたのは冒頭4ページほどなので、最後まで読めば面白いのかもしれない。何の気なしに、一番後ろの奥付けを確認すると、数年前に売られた本なのに初版本だった。

 いくら札幌が田舎だと言っても、札幌駅すぐそばの大型書店で初版本が残っているというのは、信じられない。試しに隣にあった東野圭吾さんの本の奥付けを確認すると、発売されたばかりの本でも重版されていた。売れる本と売れない本の差が大きいのだ。

 大きな新人賞を取ろうが、映像化もされているベテラン作家だろうが、普段、本を読まない人でも名前を聞いたことのあるぐらいのベストセラー作家にならなければ、重版されずに返本されて、この世界からひっそりと消えてしまうのだろう。

 驚くことに、クチコミサイトで人気になっていた本ですら初版だった。これでは話題にもならない本が、重版されるわけがない。

 デビュー作がすぐに映像化でもしなければ、尻つぼみで作家生命は終わるのかもしれない。恐ろしい世界である。

 でも、それが面白い。受賞作という肩書きよりも、中身で判断してもらえるのなら、私にもチャンスはある。なぜなら、私の作品は面白いからだ。