鉄仙のショートショート

2012年に若年性パーキンソン病を発症。アマチュア作家。

色々あって退職しました。

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 私、新屋鉄仙(しんやてっせん)は2019年8月30日をもって会社を去りました(正確には有給消化中なので退社は10月21日)。

 ここ1週間、同僚たちから毎日のように「辞めるのを辞めたら」と言われていて、心苦しいものはありました。私が抜けた穴を埋めるため物理的に仕事が増えてしまうことよりも、会社の中心人物が抜けてしまう不安の方が大きいのだと思います。

 1ヶ月前、会社を辞めることが社内中に伝わったとき、他部署から次々に問い合わせがありました。他の人が辞めるときは、「やっぱりね」なのに、私のときだけは「何があったんだ?」「何をやらかしたんだ?」と質問攻めでした。

 私は進行性の難病である若年性パーキンソン病であることを公表していましたが、課長職・部長職の仕事を代行していたので、最終的には事務のトップに立つものだと思われていたのだと思います。私自身もそのように思っていましたので、会社が傾くのを必死で支えてきたつもりです。

 しかし、会社というものは不思議なもので、会社のために働く人よりも、自分のために働く人の方が早く出世します。私がまわりの人たちをフォローするのに時間をさいているとき、彼らは上司にアピールして出世の階段を上がっていきました。 

 それで会社が上手く回っていれば問題ないのですが、そうはいっていなかった。なんとか立て直そうと頑張ってみましたが、いくら仕事ができるといっても、病人の私には体力の限界があります。心だって折れそうになります。

 そんな私にとって、唯一の心の支えが小説でした。小説は努力を裏切りません。読めば読むほど表現が増え、書けば書くほど上手くなります。原稿の枚数は毎日、確実に増えていきます。頑張れば頑張るほどゴールが近づきます。

 会社員は収入が安定していますが、小説家はベストセラー作家にならない限り安定しません。普通に考えれば、退職せずに会社員を続けるべきでしょう。ただ、私は普通ではありません。進行性の病人です。定年まで働ける保証なんてありません。病気が悪化すれば心も折れるかもしれません。

 出世して収入も上がり、仕事量も自分で調整できるようになっていれば、会社員を続けることもできました。しかし、私が言われたのは「病気が治るまでは出世は認めない」でした。どんなに仕事ができても、病気が治らないと認められない。つまり、私が出世する確率は0%です。それに対し、公募に応募してプロの小説家になれる確率は1%ぐらいで、ベストセラー作家になれる確率は0.01%ぐらいでしょうか。正確な数字は分かりませんが0ではありません。  

  私にとって、0でなければ、それは希望なのです。将来を考えて決断するのに十分な数字なのです。独身で難病持ちのおっさんなので、失うものがないというのもあります。落ちるとこまで落ちれば、後は這い上がるだけ。これほど気が楽なことはありません。

 さて、私の人生の第二部はどのような物語になるのでしょうか? 第三部のプロ小説家編はあるのでしょうか? 今から楽しみです!