鉄仙のショートショート

2012年に若年性パーキンソン病を発症。アマチュア作家。

美術鑑賞は静かに楽しませてもらいたい

 今日、美術館で絵を見てきました。展覧が始まってからだいぶ経っているので、人も少なく落ち着いて見られると思ったのに、不快でした。

 客はほとんどいなかったので、自分のペースでゆっくり絵の鑑賞ができる状態だったのですが、若い女を連れたおじいさんがうるさいのなんのって。絵の作者の情報や絵のうんちくについて大きな声であれこれ語るのですが、作者についての説明は、スッキリしないもので、要点もなくダラダラと長い。そして、絵の解説は、見たまんまのことしか言わない!

「あ~、これは岩みたいな質感で、え~、ここに腕みたいなものが書いてあるんですよ。こういう絵なんで、みんなじっくり足を止めて見ますね」

 どうでもいいわ! そのままやんけ! 「あ~」とか、「え~」とかウザい! そして、声も大きい!

「へぇ~。そうなんですね」

 女も返事しか言わない!

 お前ら、黙って見ろよ! スタッフも注意しろよ! 多少の会話は許されるのは分かる。でもな、あれはダメだろ。上手い説明ならいいけど、あんな下手な説明、不快でしかないぞ! 女も興味がなさそうだし! おじいさん、あんた、若い女に知識をひけらかして格好つけたいだけろ! みっともない!

 格好つけたいのなら、自分で絵を描いて、自分の作品展を開けよ! 他人の絵を我が物顔で解説してどうするんだよ?

 まわりには他の客もいるんだ。私のような一人もんだけでなく、カップルだっていた。家族だっていた。みんな静かに見ている場で、自分たちだけ話していることに違和感はないのか! 空気を読め!

 美術作品は、作品に関する知識がないとその面白さを十分に楽しめないが、その知識はその場で軽く聞いた程度では意味がないし、どの作品のどこを見るべきかは、初めて見た作品では全く分からない。事前に図録などを購入して目星をつけていないと、たくさんの展示作品を流し見して、どれも記憶に残らず、時間を無駄にするだけだ。

 ただ、何らかの創作活動をしていて、インスピレーションを受けるためなら、知識なしでの美術鑑賞も納得できる。でも、多くの客は創作活動をしていないのだから、美術に触れる前に簡単な予備知識ぐらいはつけてもらいたい。最近は美術館で用意した音声ガイドを借りて見る人が増えたが、あれはもったいない。あれは耳に集中してしまって、目から入る情報量が減ってしまう。絵の横にある解説を読む人もよく見かけるが、あれだって貴重な時間を絵ではなく、文字を読むのに使ってしまう。今、そこで見るべきこと、やるべきことは、自分の目で美術作品を感じ取ることだ。他の五感を使わずに、視覚だけに集中する。それこそが美術の最大限の楽しみ方ではないか?

 あの場で、私が注意して、オオゴトになると他の客に迷惑だと思い我慢したが、美術館のスタッフには、なんらかの対応をしてもらいたかったものだ。

 ツバが飛んで作品が劣化したら、誰の責任なのか。作品を守るという観点からも、私語は厳禁にしてもらいたい。