鉄仙のショートショート

札幌在住会社員のショートショート置き場です。

『ある小説家にとっての壁』作品解説

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 昨日、書いた小説について解説を書こうと思う。

tyoiwaru.hatenablog.com

 

 この小説は、これを読んで参加したくなった。

yutoma233.hatenablog.com

 

 派生作品として以下のものがあり、これらを読んだ上で俺も書かせてもらった。

死の壁に覆われた町からの短い手紙 - ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

見えない壁に覆われた町からの手紙 - ダメシ添加大戦

 

 俺以外の3人の作品に共通するのが、人一人の力ではあがなえない絶望感であった。そのため、俺の作品だけは、できるかぎり楽観的なものにしようと思い、時間軸もズラしてみた。

 3人の作品を読んで一番最初に思ったのが、「見えない壁が出現したことはどうしようもないもので諦めるしかないが、それまでに何も準備をしてこなかった自分たちには責任はないのだろうか」ということだった。

 自然災害が起きた時、政府が悪いと批判する人が多いが、俺は自業自得だと思っている。批判される政府がではなく、国民である俺たち自身の自業自得である。選挙は実質的に組織票で動いているが、権力にあがなわず票を投じ政府を選んでいるのは俺たち国民自身である。政府の対応が悪いと言っている人たちがその政府を選んだこと、もしくは相反する政党を支持する人たちを説得しきれなかったことのツケがまわってきただけではないか?

 俺たちは自分の国や自治体という生活基盤である組織に対し、他人事として感じているところがある。それを表現するため、俺は小説で、人々は生活や仕事が忙しいので、世界の危機を事前に知っても後回しにするという流れにしてみた。

 また、物理的な壁というテーマがモチーフであったが、それ以前に心理的な壁が存在することも書きたかった。少し分かりづらかったかもしれないが、今回は締め切り間際の小説家という軟禁状態で表現してみた。それに加えて軽くだが、情報の遮断という壁も加えておいた。新聞をとらず、ニュースはネットのみの独身者が陥る情報遮断という孤立の危険性。一日中家から出ずにゲームをしていたら、世界中が騒いでいても気づかないという皮肉も書いてみた。これは実際に俺も体験したことで、ニュースを見るという習慣を忘れてはいけないという自戒の意味もある。

 将来的には会社員ですら家で仕事ができるようになり、子供たちの勉強もネット経由になるのではないかと思う。少子化による学校の問題もこれによって解決されるだろう。学校のネット化には直接他者に触れるというコミュニケーション不足の問題などが残る。しかし、今現在でもそれらの問題は出ており、少子化が進めば学校のネット化は避けて通れないのではないかと思う。

 また、買い物のネット通販化がここまで進むと、家から一歩も出なくても生活できる時代がくるだろう。服や靴のサイズが合わなければ交換可能なネット通販サービスもあるし、VRを使用すれば購入前に実物を疑似体験できる。物理的なものではないが、見えない壁はすでに現実化してきている。

 それでも人は、肌と肌のふれあいだけは求め続けるだろうと思い、俺の小説のオチとして書いておいた。

 俺も含め今回の作品全てに共通することとして、手紙、メール、携帯など誰かと連絡するためのツールが出てくる。物理的・心理的に壁ができた時、たとえ一人で生活できるような環境であったとしても、人は誰かを求める。それが体か言葉かの違いはあれど、やっぱり人は一人では生きていけないのではないか? 

 つまり、ますます俺は結婚したくなったというオチで終わろうと思う。