鉄仙のショートショート

札幌在住会社員のショートショート置き場です。

小説

手紙預かり屋

今週のお題「あの人へラブレター」 わたあめのようなふわふわと軽い雪が降る中、男は真っ赤な郵便ポストの前に立っていた。黒いコートにしがみつく白い雪は体温ですぐに溶け、透明な水となってコートの上をするりと流れ落ちていく。頭の上にそっと積もった雪…

さっぽる旅行①

羽田空港から新千歳空港まで一時間半。そこから札幌駅まで電車で一時間。ネットで知り合った大好きな彼に会うために、私は札幌までやってきた……はずだった。 私はホームに降りてすぐに違和感を覚えた。誰もが背中に黒い何かを背負っていたからだ。最初はリュ…

金玉おでん

日中の暑さを忘れるほど冷え込む夏の夜。人気のない港に不釣り合いな屋台が一つ。おでんと書かれた赤く大きな提灯が哀愁を漂わせながら灯っている。屋台には生成色の暖簾がかけられており、時折吹く潮の香りが乗った海風で揺れていた。 「大将、ビール二つと…

『惚れた尻に敷かれる』①

私はどうしようもないほど女に弱い。履歴書に弱点を書く場所があったのなら、私はそこに『女』と書かなければならないだろう。そんな私は面食いなので美女に弱い。顔さえ良ければというところがあって体型なんて全く気にしない。胸の大きさとか、尻の形とか…

実録! お天気お姉さん24時?

お題「ショートショート『天気予報』」 お天気お姉さんを知っているだろうか? テレビで天気を予報する女性のことだ。最近では若くてかわいらしい女性の職業の一つと認識されているが、その実態を知るものは少ない。今夜は、今一番有名なお天気お姉さん安藤…

晴れのち雨ところにより……

お題「ショートショート『天気予報』」 「涼子、天気予報見た? 明日、雨なんだって」 「えー、マジ? 最悪!」 まただ。だから私は天気予報が嫌いだ。昔は雨と言えば、恵の雨と言われたものだ。それが今はどうだ。雨が降るから傘がいる。傘を差すのも、持ち…

ヒヒイロアカネモドキ

お客さん、あんたついているぜ。 このヒヒイロアカネモドキは今日手に入ったばかりなんですぜ。 いやいや本当にこれを食べることができるなんて幸せものだ。滅多なことじゃあ、お目にかかれない一品ですぜ。 さてさてどうする? 焼くかい? 煮るかい? まさ…

これから書く小説のあらすじ

『ボーダー』(連作短編) ある日、仕事人間である独身男の井上は進行性の不治の病を宣告される。真面目に生きれば幸せになれると思っていた井上にとって、それは世界の裏切りだった。 病気になって初めて直面した健康な人と病人の境界線(ボーダーライン)…

ホラー小説を書いていて……

念のため書き残しておく。 今さっき、ヘッドホンで音楽を聴きながら、ショートショート用のホラー小説を書いていて背中が寒くなった。 書いている内容はゾッとするものというほどではなかったのだが、怖くなってヘッドホンを外してこれを書いている。 無料動…

嘘の告白

「お前は地獄行きだな」 俺は今、あの世にいる。そして、地獄行きを宣告された。 「お前も地獄行きだな」 事故で一緒に死んだ妻も、同じく地獄行きを宣告されたようだ。 「なんで私が地獄行きなのよ!」 あの世で審判をしているという閻魔大王に妻が楯突いて…

久しぶりに長編小説を買いました。

これは一部の人しか知らないぶっちゃけ話なのですが、実は私、生まれてこの方、読んだ小説は10冊もありません。昨年から趣味で小説を書き始めましたが、去年『ショートショートの宝箱』を買うまで約20年間、一冊も読んでいませんでした。 さて、そんな私、毎…

あちらのお客様

「また、いらっしゃって下さいね!」 彼女の笑顔に見送られるのは、これで何度目だろうか? 俺がこの洋食店に通うようになってから半年は経つ。肉がホロホロと崩れ落ちるビーフシチューに、尻尾の先までサクサクなエビフライ、ふわふわのトロトロでこの世の…

いつも一緒だよ。

僕には親がいない。でも、家族がいる。大好きなショウタお兄ちゃんだ。お兄ちゃんは、いつもどこかに出掛けちゃうんで、僕はいつもお留守番だけど、夜には帰ってきて一緒に遊んだり、ごはんを食べている。体は僕よりも大きくて暖かいので、冬は一緒に寝てい…

魔王、復活!

国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。一 首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。二 謀議に参与し…

味方、見方、三型

(こちらの小説は手直しして公募に出しましたので、非公開となりました)

『ある小説家にとっての壁』作品解説

昨日、書いた小説について解説を書こうと思う。

ある小説家にとっての壁

以下の小説は、これからブログ界隈で流行るだろう『終焉の町からの手紙』のスピンオフ小説となります。では、本編をどうぞ!

笑顔になれる料理店『スリール』へようこそ!

フランス料理店『スリール』。フランス語で『笑顔』を意味するその店には、いつも笑顔が絶えない。オーナーの人柄なのか、看板娘の奈菜のおかげか、誰もが楽しめるフランス料理店として、有名人御用達の店でもあった。

文才のあるブロガーさんが集まって作品集を作ったら面白そう

11月23日~26日の東京旅行でどこに行くかあれこれ調べていたら、面白い場所を見つけた。それが『文壇バー』というものだ。 文豪バー 文才のあるブロガーさんたち かんどーさん みどりの小野さん 山倉梨子さん はてな文芸部で作品集を発表

奪われた公園

「この空き地に公園があったら、多くの子供たちが喜ぶだろうね」 市長が缶コーヒーを飲みながら夢を語り出した。

コオロギ

僕には姉が一人いる。家族の僕が言うのもなんだが美人だ。小さい頃からモテたし、性格も良く自慢の姉だ。しかし、僕は昔から姉が怖かった。

とりあえず河童の皿を割ろうか?

休日の昼、俺は同僚のレイちゃんと定山渓温泉に来ていた。

君は星を欲しがる

「あの一番輝いている星が欲しい」 君はいつも無理を言って僕を困らす。初めてのデートで君が欲しがったのは、夜空に輝く星だった。

部屋を去る女

この部屋には私の3年間がある。楽しいことばかりではなかった。何度も彼と喧嘩し、何度もこの部屋を離れた。最後は、いつも彼が折れてくれて、私はこの部屋に戻ってくることができた。

冬の蝉

仕事の依頼はいつも親戚の誰かからだ。内容はいつも決まって同じ、心霊現象について助けてほしいというものだった。

彼女が生になるまで20年

俺の名はT。これかから話すことは、大学1年の夏休みの時の話だ。

雪山と偽善者

(写真:LGEPR) 雪山には不釣り合いな金属片が散らばっている。大きな金属の塊には、有名航空会社の名前が書かれていた。 「この子のお父さんか、お母さんはいますか?」 墜落した飛行機の残骸の中、明石(あかし)が大声で少女の親を探すために大声で叫ぶ…

職場あるある。

みなさん、こんにちは! OLやっている美紀です。 今、私は職場の自分の席でこれを書いています。つまり就業時間中に仕事をせずにさぼっていることになります。えっ? 上司に怒られないのかって? それは大丈夫! だって私OLやっているから! OLはOLでも、Off…

俺の彼女は諦めが悪い。

毎週土曜、彼女は俺のところへ会いに来る。時間もきっかり朝の9時。俺の意思なんてお構いなしだ。悪い気はしないが、逢う度に一週間何があったかを聞かされるのは疲れる。彼女は俺が黙って聞いているだけで満足なのだろう。